大切な決断の前に、人は自分を整えている。
サッカー日本代表を率いる森保一監督。
その姿勢には、揺るがない静けさがある。
試合の中でも、日々の積み重ねの中でも、
その判断は、常に準備の上にある。
その思考と姿勢に迫る。
大切な決断の前に、人は自分を整えている。
サッカー日本代表を率いる森保一監督。
その姿勢には、揺るがない静けさがある。
試合の中でも、日々の積み重ねの中でも、
その判断は、常に準備の上にある。
その思考と姿勢に迫る。
―― 森保監督の立ち姿や所作は、選手に無言のメッセージを与えているように感じます。
森保 一つ意識していることは、バタバタしないということです。落ち着きながら熱く戦う。その冷静さがいい判断を生むと思っています。私が狼狽えてしまっては、選手やスタッフにも悪い影響を与えてしまうかもしれませんから。だからこそ、常に冷静でいられるように心がけています。
―― 選手やコーチ陣とコミュニケーションを取る上で意識していることはありますか?
森保 一方的に主張を伝えるようなことはしません。ポイントとなる部分は伝え、それを受けて選手やコーチに思考し実践してもらう。終わった後に、振り返るためにコミュニケーションを取るようにしています。これにより、“監督に指示されたこと”ではなく、自身のプランとして落とし込めると考えます。その方が全て伝えて指示する以上の価値が得られると思うので。意識的に取り組むようにしています。
―― そうした見守る姿勢は、経験を重ねる中で自然に身についたものなのか、それとも意識して磨いてきたものなのでしょうか。
森保 どちらかというと監督に就任してからの経験によるものが大きいですね。最初の頃は、その場面で起きるいろんなことに反応して上がったり下がったりすることが多かったんです。しかし、そうした経験を重ねる毎に、自然と“終わってみないと良いも悪いもわからない”という結論に至りました。やりながら、次に何が起こって、このままいくとどうなるのかを考えるようになりましたね。
―― 決断を下す瞬間、外からは見えない「自分の中だけの基準」はありますか。
森保 局面によって変化はありますが、私の中で決断の原理原則は持っています。それは、決断したことが日本代表の今の勝利に繋がるのか。そして、日本のサッカーの発展に繋がるのか。これを基準にしています。特に決断に迷いが出た時に、私自身の立ち帰る場所になっていますね。
―― そういった重大な決断は、周囲に相談することはあっても最終判断はご自身だと思います。そこに孤独を感じますか?
森保 孤独は感じません。というのも、コーチ陣からも相談しにきてくれますし、私からも常に相談したり、聞いてみたりするようにしていて。そこであらゆる選択肢が生み出され、その中から最後に私が決めるという形が多いですから、孤独に戦っている気はしないんです。とは言え、最終の判断は私です。なので、孤独というよりは「それが自分の役割なんだ」と割り切っていますね。
―― 事前準備が最も大事なんですね。
森保 そう思います。私がよく選手やスタッフに伝える言葉で、「最善の準備をして全力を尽くす」というものがあります。私自身が最も大切にしていることで意識していることですね。
―― 変化の速い時代の中で、ご自身の佇まいや判断の質を保ち続けるために、大切にしている考えがあれば教えてください。
森保 今を基準とした時の、“これまで培ってきた経験”と“変化するこれからの未来”の両方を持って目の前のことに対応していくことですね。経験と照らし合わせて初めて、変えなくてもいいこと、変えて進化することが見えてくるので。そうして積み上げた過去と今によって、今度は未来にアプローチできると思っています。
―― そんな考えの下、監督時代の経験の中で「あの時は自分らしかった」と思えた瞬間はありますか?
森保 広島で監督をしていた頃は、監督としての最後の試合の時に、若く力のある選手よりも、チーム作りに大きく貢献してくれた経験の多い選手を敢えて起用したことがありました。
対して代表戦では真逆で。カタール・ワールドカップの際、内容的には過去最高ぐらいの仕上がりだったこともあって、メンバーもわりと固まっていました。そんな中で、スタートは敢えて若い選手をたくさん起用しました。それまで力を発揮してくれていたものの招集しなかった選手もいました。2期目の活動はその流れも受けて始めたんです。
どちらも自分らしい判断だったかなと。共通しているのは、どんな結果になってもその責任は自分で取る覚悟を持って行ったということです。
―― 本当に真逆の決断ですね。
森保 良いプレーをしてきた事を知っているからこそ、こうした決断は外された選手から反感を買い、選手の心を傷つけることになるとも思っていました。ですが、未来に向かってチャレンジしないといけないという想いもあって。結果は思ったようにはいきませんでしたが、次に繋がったと思っています。過去と未来を掛け合わせて、今の決断をするという考えとその結果に対する責任を自分で取る覚悟は常に持っています。
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